当たり前の話だけど・・・
頭では理解できるけど・・・
なかなか自分自身ではできない、そんな話の1つがこの「ツキや運を引き寄せるには気づく力が必要」という話ですね。
経営でもスポーツでも結果の出ている人の話を聞いたり、本や雑誌で読んだりすると、必ずといって良いほど「運が良かっただけです」とか、「ツイてました」などとどこかに書かれています。
もちろん謙遜の部分もあるのでしょうが、本当にキッカケは偶然ということも少なくありません。
その偶然のキッカケをチャンスと気づくか、何でも無い日常のヒトコマとして捉えるかはその人の気づく力(=気づき力)次第ではないでしょうか?
目次
偶然をチャンスとして成功した事例
前回の「ビジネスが成功するかどうかはコイン投げのようなもの?!」でも紹介した「仕事は楽しいかね?」という本に書かれている有名企業の成功事例として、コカコーラ、リーバイスの話と、有名商品であるポストイット(付箋)とチョコクッキーの話が紹介されています。
ものすごく要約して書くので、詳しく知りたい方は仕事は楽しいかね?を読んでいただければと思います。
コカコーラの事例
ドラックストアで従業員が、水に頭痛薬を溶かして飲んでいたのをドラックストアの経営者が見つけ、炭酸を入れたらもっとおいしくなるのではと考え改良していった結果できあがった。
リーバイス
アメリカのカリフォルニアで金の発掘の噂を聞き、金の発掘に参加する前に鉱夫に必需品を売って一儲けをすることを思いつく。
そして思いつきはあたり、積み荷はテント用の汚い帆布以外はすべて完売。
その後ぶらっと出かけた市場でズボンが品薄だと気づき、売れ残った汚い帆布でズボンを作ることを思いつき実行。
なんと鉱夫にバカ売れして、あまりの忙しさに当初の計画であった金の発掘への参加はできなかった。
チョコクッキーの事例
クッキーの下地にチョコを溶かしていれる予定だったが、時間がなかったので、チョコをくだいたものをいれた。
どうせ焼くのだから溶けて同じことになるだろうと考えていたのだが、チョコは溶けなかった。
しかし、食べてみるとこれが溶かす以上に美味しかったので、チョコクッキーが生まれた。
ポストイットの事例
本当はしっかりとくっつく粘着力十分な接着剤を開発していた。
しかし、出来上がったのは、くっつくけどはがすのも簡単な粘着力の弱い接着剤だった。
開発としては失敗だったが、その技術がポストイットを生み出した。
記憶に残っている範囲で書いているので、実際の話と若干違う可能性があります。
詳しく知りたい方は本を読まれるか、ネットで検索して調べてみてくださいね。
偶然はそこら中に溢れている
1つ1つの事例を見ると運が良かっただけのようにも見えます。
しかし、自分自身に置き換えてみると、
コカコーラの事例でいう、スタッフが水に頭痛薬を入れて飲んでいたのをみたら、ただ叱るだけでしょう。
ドラッグストアの経営者だったとしたら、飲料などに興味を持てないですし、スタッフが売り物の頭痛薬を勝手に飲んでいることを知っただけで激怒するでしょう。
リーバイスの事例でいえば、私は目標や計画を重視するタイプですので、ズボンのことなど気にもかけず、当初の計画通り金採掘に従事することになるでしょう。
一儲け→金採掘という当初の計画通りですから、チャンスを逃したなどと悔しがることはまったくなく、むしろ計画通りにいって誇らしくすら思っているのではないかと思います。
チョコチップクッキーはめんどくさがり屋の私だったら出来ていた可能性はあります笑。
ポストイットは・・・年間何億ドルという開発費用を投入して開発しているそうなので、開発目標の粘着力の強い接着剤以外は失敗作としかみえないでしょう。
こう考えていくと、ほとんどの偶然を逃してしまうことになります。
後に運が良かったとか、ツイているといわれるもののほとんどが、こういうものです。
ただ気づいてないだけで、日常の中に溢れているのです。
偶然に気づきチャンスに変えるためには気づく力を磨くことが重要になります。
気づき力の磨き方
恐らく誰もが経験したことや感じたことがあるのが、「なんで、あの人こんなところに気づかないんだろう」と他人に対して思うことです。
私も、サラリーマン時代に部下に、「なんでこんな目の前にチャンスがあるのに立候補しないの?」みたいなことを何度か聞いたことがあります。
驚いたのは、実力が不安でとか、他の仕事が忙しくてとかの理由で立候補しないわけではなく、そもそもそれがチャンスだということに気づいていないことでした。
当時は深く考えず、「よく考えればわかることじゃん、だって・・・」と順序だって論理的に説明していましたが、今考えるとムダなことをしていました。
気づく力が足りない人に対して、考える力の欠如とか、想像力の欠如などという表現をすることもありますが、単純に経験不足という側面が大きいというのが本当のところではないでしょうか?
ものすごく様々なことに気づく人でも、ある一定のことには驚くほど気遣いができないケースがあります。
これは、その一定のことに対しての経験が不足しているため、何に注意したら良いのかがわからないからであって、本人の能力が欠如しているわけではありません。
気づく力をあげるためには、経験を増やすことが重要、そのためにはビジネスが成功するかどうかはコイン投げのようなもの?!でも書きましたが、チャレンジする回数、行動する回数を圧倒的に増やすことが重要になります。
そしてもう一つは関連しますが、興味を持つ分野を増やすことです。または自分には関係ないと思うことを減らすことです。
コカコーラの話では、ドラックストアが飲料に、リーバイスの話では金採掘がジーンズに、それぞれまったく別の分野に進んでいるのを見てもそのことがわかります。
仕事は楽しいかね?では、目標や計画が時として成功を邪魔する要因になると説明しています。
私は、目標と計画は必要だと思う側の立場ですが、この話はなるほどと思いました。
ドラックストアのオーナーは、飲料開発を目標にも計画にもしてなかったでしょうし、金採掘をしにきた青年はジーンズ屋になる夢などなかったでしょうから。
少しでも興味を持ったことを、まずはやってみるという姿勢は成功のためにも、気づき力を磨くためにも重要な要素なのだと気づきました。
ちなみに世界的に有名な人の夢と成功の事例として、『まんがで変わる! 仕事は楽しいかね?』に、黒澤明氏やハリポッターの作者などが紹介されています。
それによると目標や計画を重視していたら黒澤明監督は画家に、ハリーポッターの作者は教師になっていただろうとされています。
もしそうなっていたら2人はこんなに世界的に有名になっていなかったのではないでしょうか?
中小企業経営者の気づき力
今年で中小企業の経営に携わるようになって11年目になります。
途中1年間まったく関わっていない時期がありましたが、約10年で150社以上の中小企業とお仕事をさせていただきました。
ですので、成功事例も失敗事例も少なからず見てきました。
そしてこの仕事をしていると聞かれることが多いのが、「他の会社さんではどうしていますか?」という質問です。
この成功事例や失敗事例を、少なくとも普通の人より知っているというのは、私の強みの1つなので話をします。
この時の返答でだいたい見えてくるのですが、
「うちの業種では当てはまらないな・・・」
と答える方、
同業種で話をすると
「うちとはちょっと状況が違うな・・・」
といいます。
差別化の一番簡単な方法は異業種からパクることにも書きましたが、業種や業界が違うとか、不景気だからとか、そういう出来ない理由をいう経営者の会社でその後伸びた会社を知りません。
伸びる会社の経営者に多いのは、すべてを鵜呑みにするわけではなく、その話の中で自社に取り入れられそうなもの、自社に関連するものを探し、まずやってみるということをすぐ行動に移す経営者です。
これも気づき力とビジネスが成功するかどうかはコイン投げのようなもの?!に書いた行動力の1つの姿だと思います。
編集後記
「中小企業経営者の気づき力」として偉そうなことを書きましたが、私もまだまだ全然できていません。
気分を害された方は大変申し訳ございませんでした。
誰もがそうだとは思いますが、他人のことは意外とよく見えるのに、自分のことは思っている以上に全然見えていないということです。
こんな偉そうなことを書いておきながら、私の気づき力が足りずご迷惑をおかけしている人がたくさんいると思います。
経営者は経営の相談を社員やスタッフにもできず、家族にもしづらく、士業の方に本音をいえるケースも少なく、孤独なケースが少なくありません。
本当は他人のことのほうが気づき力があるという意味も含め、腹を割って話のできる仲間がいることが理想です。
私は創業して間もなく偶然にもそういう仲間を見つけることができました。
お互い別の会社を経営しているので、悩んだ時に経営者視点の適切なアドバイスをもらえますし、気づいたことはお互い言いあいます。
雑談の中で「昨日こんなことがあったんだよ」という話が、自分では気づいていなかったチャンスに、こうしたらビジネスになるんじゃないとアドバイスをもらって仕事になったことも何回かあります(当たり前ですが、コカコーラやリーバイスほどの話にはなかなかなりませんね笑)
逆にこれは仕事なので当たり前ですが、お客様の社長と雑談をしていて出た話で、他の業種ではそういうのをこうやって商売にしてますよみたいな話をしたことがヒントになり、雑談をビジネスチャンスに変えた方も何人かいます。
仲間ではなく、尊敬する師匠・メンターでもいいと思います。
もしかしたら、それが事業が成長・発展、そして飛躍するための一番の近道なのかもしれません。
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