理念経営やビジョン経営などという言葉があるように、経営において理念とビジョンが大切にされています。
事業を始めるときに多くの方が理念やビジョン、志、信念のようなものを持っています。
しかし、本当に理念やビジョンは大切なのでしょうか?
目次
ミッション・ビジョン・理念とは?
そもそもミッション、ビジョン・理念とは何なのでしょうか?
ビジョン=未来像
ミッション=使命
理念=大事にする考え方
などと解説されています。
桃太郎で例えると・・・
よくミッション・ビジョン・理念の話は桃太郎に例えられます。
(侵略戦争の例えにもよく使われますが・・・)
これは例え話ですが、例えばこういう風に桃太郎のミッション・ビジョン・理念は定義されるでしょう。
桃太郎におけるミッションは、「村の平和に貢献すること」。
鬼退治は村を平和にするために行われます。
ビジョンは、「仲間を集めて鬼を退治して村のみんなを鬼の恐怖から解放する」
ビジョンは未来像です。
会社でいえば、「地域で一番喜ばれるお店になる」とか、「5億の売上100人の社員」とか、イメージができるものになります。
経営理念は、「仲間との連係プレーを大切に」とか「個性を活かしたチーム作り」とか
ミッションに向かってビジョンを達成するために大切にしたいことです。
ミッションやビジョンより売上と利益?!
事業を始めると理念やビジョンだけでは経営が継続できなくなります。
何かをするために必要になるのはお金、まずお金を稼がなければという考えになっていきます。
私もそうです。というか、今でもそうです。
別の起業の仕方としては、ミッションやビジョンはもちろんアイディアの面白さやビジネスモデルの面白さで、仲間を集め、出資してくれる人を募り、ビジネスをしていくという方法もあります。
極端な事例になると、無料でサービスを配布し広告宣伝も積極的に行い、一定のシェアとユーザーを獲得できるまで赤字を出し続けるパターンもあります。
最後は、事業を売却するというパターンが一般的です。
日本もスモールビジネスに出資する人が増えてきたり、事業売却という方法が一般的になってきたりして、売上や利益ではない形で資金を調達し、ミッションやビジョンを達成するという方法も増えてきましたが、まだまだ誰もができるハードルの低さではありません。
そうなってくると、やはり売上を増やし利益を獲得すること、または、金融機関からの借入が資金を確保するための方法になります。
金融機関の借入も売上と利益がなければ、最終的には貸してくれなくなってしまいます。
結果として売上と利益が、ミッションやビジョンを達成するための唯一の方法となる事業が多くなります。
道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である
二宮尊徳の言葉です。
道徳をビジョンやミッションに置き換え、経済を売上と利益と置き換えると「ミッションやビジョンより売上と利益?!」の答えとなります。
ビジョンやミッションを達成するためには、売上と利益が必要です。
売上と利益が稼げず、理念やビジョンだけが立派でも、ただの寝言となってしまいます。
ミッションやビジョンより大切なもの?!
ミッションやビジョンはもちろん大切です。
しかし、今あなたの事業が赤字であればミッション・ビジョンより最優先なことがあります。
それは売上と利益を稼ぐためのビジネスモデルを作ることです。
ビジネスモデルに関しては私のメルマガを参考にしていただければ幸いです。
→【VOL124】マーケティングより大切なビジネスモデルの作り方
決してミッションやビジョンがいらないといっている訳ではありません。
優先順位としてまず黒字化をするためにビジネスモデル、マーケティング、戦略、戦術を突き詰めるほうが先という話です。
ミッションもビジョンももちろん大切です。
前述の二宮尊徳も、道徳と経済を同列に扱った上で、「道徳なき経済は罪悪である」と断言しています。
ミッション・ビジョンを失うとき
経営者の多くがミッションやビジョンを持って経営者になります。
しかし、道徳=ミッションやビジョンだけでは経営は成り立たないとどこかで気づき、徐々にお金の事しか考えられなくなっていきます。
そして、いつの間にか当初のミッションやビジョンを後回しにして、儲かると思うことばかりやりはじめます。
何より危険なのは、ミッション・ビジョンを達成するために一時的に・・・と思っているケースです。
一時的にでも自分の信念を曲げて儲けのために走ってしまった経営者で、ミッション・ビジョンを成し遂げた経営者は見たことがありませんし、何より周りの人間がついてきません。
「言っていることと、やっていることが違う」という状態です。
特に経営者はスタッフから誤解されやすい存在です。
言っていることと、やっていることが同じでも、誤解され「言っていることと、やっていることが違う」と批判の対象になります。
自身の言動の影響力が大きいことを強く認識しなければいけません。
スタッフや周りの人に誤解をされない方法としてお勧めなのは、ビジョンやミッションはもちろん、戦略や戦術、中長期の事業計画などを文書化して発表することです。
そして週に1回など定期的に、その文書化した計画書を教科書としてスタッフに伝える機会を持つこと、これが一番効果があるのでお勧めです。
ミッション・ビジョンは中小企業の武器でもある
大手に値段ではなかなか勝てません。
規模の経済で、例えば、仕入も大量にするから安い、配送料も安い、などなど規模が大きいことのメリットは多く、特に価格競争においては有利になります。
では、中小企業は差別化や独自化しなければいけないという話になりますが、ミッションやビジョンも差別化・独自化の1つの方法です。
QPS+MVこそ中小企業の活路
QPSはご存知の方も多いと思いますが、
Q=クオリティ(品質)
P=プライス(価格)
S=サービス
の頭文字をとった言葉です。
お客様の多くは、無意識のうちに、このQPSを比べ何を買うか利用するかを決めています。
中小事業者はなかなかプライスで勝つことはできません。
必然的にクオリティやサービスで勝負することになります。
ここに
M=ミッション
V=ビジョン
を付加価値としてつけることこそが、差別化の要素です。
小さな会社だからこそ、お客様と経営者の距離は近いのでミッションやビジョンは伝わりやすく、応援したいというお客様が現れやすいからです。
お客様や関係者に伝わるようなミッション・ビジョンを掲げましょう。
体験:マザーハウスの商品買いました
ミッションやビジョンに惹かれた私自身の最近の体験として、マザーハウスの商品を購入したというのがあります。
「裸でも生きる ~25歳女性起業家の号泣戦記~ (講談社+α文庫)」という本を読んで、その中に書かれていた、
「貧しい国で作られたものを欲しくもないのに「かわいそうだから」という理由で高い値段で先進国のバイヤーが買っていくフェアトレードという発想じゃダメ、先進国の消費者が本当に「これカワイイ!」と思うものを、このアジア最貧国で作ろう。」
(裸でも生きるから抜粋)
というのが好きでずっと印象に残っていました。
「途上国から世界に通用するブランドをつくる」というOUR PHILOSOPHYというものを掲げていて、これがミッションやビジョンに該当するモノです。
使命感や未来像、考え方に共感して商品を選ぶというのはこれからの時代増えてくる消費行動の1つになるはずです。
購入したときのインスタグラム。
想いをつなげる会社
「想いをつなげる会社」を作りたいと想ったのが私自身の創業の理由です。
「想いをつなげる」とは何かというと、
経営者が夢や目標としている未来像の実現を共に目指すということです。
なので、必然的にミッションやビジョンがあって本気でそれに取り組んでいるお客様と仕事をしていきたいという想いで創業しました。
Belinkという会社名も
Belief(想い)
Link(つなぐ)
という言葉の造語です。
もちろん、理想通りの仕事ばかりではないですが、想い(=ミッション・ビジョン)に共感できない会社や事業の仕事はしないというところは実現できています。
→Belink(ビリンク)を「想いをつなぐ会社」に改めてしたいと思った創業・開業サポートの仕事
編集後記
「経営にミッションやビジョンは必要か?!経営に大事なモノとは?」というタイトルでしたが、答えとしては現在は必須ではないといえます。
ミッションやビジョンがなくても、儲かっていて、社会に貢献していて、スタッフも生き生きと働いている会社もあります。
しかし、これからの時代、商品の善し悪しは当たり前として、「想い」を基準に購入を決めることも増えていくことは予測できます。
もう1つは、スタッフや関係者に道筋を示すためにもミッションやビジョンを基にした経営計画書や事業計画書が必要になっていきます。
経営計画書や事業計画書は地図のようなもので、自らの読みと現実にどれだけ差異があるかチェックする指標であると同時に、あとどれくらいで目標にたどり着くのかを測定する指標です。
夢を叶えたい、目標を達成したい経営者は、絶対に作ってみることをお勧めします。
タイトルの答えは、二宮尊徳さんのこの言葉が全てですね。
「道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である」
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