事業を経営している方なら何度も耳にしたことがあると思います。
「差別化しないと競争に勝てませんよ」、とか、「ブランディングが必要です」、とか、「NO1を目指せ」とか…
でも「言うは易く、行うは難し」で難しいと感じている方がほとんどだと思います。
今回は、自分の業種では非常識な他業種のことを真似て差別化した事例を交えながら差別化について書いてみます。
目次
業種が違うから…は言い訳です
この言葉を吐いたことはありませんか?
これを言った時点で思考が停止しているのと同義です
私がよく言われる事例を紹介します。
事業計画を立てられない
仕事の一環として事業計画の作成をお手伝いすることがあります。
よくある悩みが、これだけ時代の流れが早くなっているから、3ヶ月以上先の売上なんて読めないとうことです。(場合によっては人員計画を含む経費についてもです。)
ここでは「他業種から学ぶ」が伝えたいことなので、計画を立てることの是非はどうでも良い話なのですが、私は計画は立てることに意味があり、そのとおりにいくかいかないかは大きな問題ではなく、むしろそのとおりにいかないからこそズレを把握する為に必要だと思っています。
あまりこれについて書くと長くなるので辞めておきます、興味があるかたはこちらを。
→予算管理を始めて1ヶ月であっという間に出た3つの成果
話は戻して、吉田さんところは月額固定の収入だから読みやすいけど、うちは業種が違うから難しいんだよ…と言われます。
それはその通りだと思います。
でも「難しい」=「できない」ということではないですし、ましてやかかる経費はほぼ毎月一緒なわけですから、売上が少なくても良いという理由にもなりません。
もちろん毎月ではなく3ヶ月毎のクォーターで考えるというような工夫は必要かもしれません。
しかし、業種が違うからやらなくて良い理由にはなりません。
集客方法をマネできない
また、私の集客の基本は対面です。
交流会や飲み会で知り合った方とFacebookでつながり、Facebookで公私を混ぜた発信をし、相手が必要だと感じたタイミングに何かの手段でご連絡をいただき、顧問契約になるケースがほとんどです。
なので、連絡のほとんどが、「吉田さんってこんなこともやってましったけ?Facebookで見た気がするのですが…」と言われます。
その他付随してこのブログもそうですし、Twitter、メルマガ、Instagram、とにかく試せるものはなんでもやっています。
そんな話をすると、「うちのお客様は大手相が手だから、そんなFacebookとかで集客できるほどハードル低くない、、、」とか「うちは企業相手じゃなくて消費者に直接売っているのだから簡単じゃない、、、」とか言われます。
そういう自分で自分にハードルを構える人に共通しているのは、私の仕事が簡単で、自分の仕事が特殊で難しいと勘違いしている方が多いように思います。
どちらが難しいかはさておき、仮に難しいとして、いかに自分が集客できないかを自慢しても仕方がないのでは?と思います。だったら業種業態を変えるべきではないかと…
話を戻して、ここで大事なのは、Facebookでもないし、交流会や飲み会で出逢うことでもありません。
出会った人との縁を切らないことと、情報発信することで売り込まずにお役に立てることを探し、自発的に問い合わせをしていただくことです。
大手相手に下請けしている企業なら、月に1回必ず飲みにいくとか、訪問するとか方法はなんでも良いと思います。
下請けから脱出したい企業にとっては、脱出のヒントもここにはあると思います。
そんな私も業種が違うからという言い訳をしてしまいます。。。
偉そうに語っていますが、私も業種が違うからという言い訳は…稀にします笑。
そのほとんどがやりたくないからという部分も大きいですが…
結局、忙しいとか業種が違うからとか、言い訳をするということは、やらなくていい理由を探している部分が大きいものです。
もしくはやりたくないか…
私ははっきり言って、WEBからの問い合わせがくる全くの初対面のお客様はやりたくありません。
なので、LPを作って集客することの素晴らしさを聞いたときは、反射的に拒否りました笑。
でも今は対面以外にもWEBでの集客もしなければいけないと思っていて、ブログを書いたり、情報サイトを作ったりしています。
最近では、無料の問い合わせまで来るようになりました(継続契約の実績は今のところありませんが、これから増えていくことでしょう。)
やはり継続して同じ企業の経営サポートをすることで見えてくる部分、お役に立てる部分が大きいと思っていますので、単発案件はうけませんが、これからWEBからの継続契約も増えてくると思います。(単発は単発で客観的に見えるというメリットはあると思いますが、弊社では受けていません)
食わず嫌いだったなと反省中です。(単発案件に関しても食わず嫌いだったと後悔する日も来るかもしれません)
本業で差別化するのが一番である、でも難しい
例えば、飲食店なら料理の味、理美容業ならカットの技術、製造業なら製品品質など本業の部分で差別化できることが一番です。
しかし、食材の仕入や、研修、研究開発に多くの時間、多額のお金を使える企業ならいざ知らず、中小企業にはなかなか難しいと思います。
更には、多少の味の違いやカット技術、製品品質などはプロの目からみたら明らかでもお客様には伝わらないケースも多々あります。
だからこそ、本業で差別化できたら参入障壁が高くなり圧倒的に有利になるのですが、現実はなかなか難しいものです。
他業種では常識になっていることで自分たちの業種でやっていないことはないか?
前述のとおり業種が違うからと言って、自ら差別化の道を閉ざしてしまう人が多くいます。
人がやっていないことにこそチャンスがあります。
ましてや他業種での成功事例があるわけですから、全く新しいことを考えて取り入れるより簡単です。
教えてくれる経営者仲間もたくさんいることでしょう。
私は仕事柄、多種多様な業種を見てきました。とは言っても100社強ですが。
そんな中で、他業種の常識を取り入れて成功した事例をご紹介します。
美容室づくりに特化した建設業
もちろん、家も作れますし、事務所、店舗も作れますが、自分たちの得意分野を美容室の設計施工と定義してブランディングをしていました。
それだけだと本業での専門領域の絞り込みでしかないのですが、この会社のすごいところは他業種の常識を活かしてもっと上流層からお客様にしようとした点です。
美容師は美に対して意識が高いと仮定し、お店のデザインを競うようなサイトに自分たちで施行した店舗の内装等へ載せていたこと、TwitterやFacebookで施行前と施行後で写真を載せるなどはもちろんしていました。
何よりもすごかったのは、セミナー集客をしていたことです。
セミナーでの集客といえば、士業やコンサルがメインのように考えがちですが、建設業でやってのけました。
その内容は、
第1部:集客と販促の仕方
第2部:事業計画の立て方と借入の仕方
第3部:店舗オペレーションの仕方
第4部:店舗設計のポイント
でした。
つまり、美容師として独立したい人、新規店舗を出店したい人にターゲットを絞り、第1部〜第3部まではそれを専門とするプロに講師をしてもらい、第4部で自ら店舗を作るときに気をつけることを話していました。
結果は当然ですが、成功です。
しかも建設業というと単発で終わりのイメージがありますが、集客や販促、借入、オペレーションのプロの誰かがが顧問契約したした場合、定期的に訪問しますので、もう一店舗出店しようとか、お店のリノベーションをしようとしたら、必ずその業者に頼むことになります。
建設業の常識を破って、成功した事例の1つです。
無料診断を取り入れた電気屋
電気屋といっても電気工事が中心の会社さんの話です。
主な仕事は、某大手自動車メーカーの店舗の電気工事です。
トヨタであればトヨペットとか、ホンダであればホンダカーズとか、そういう販売店です。
ある地域を独占していたので、かなり固い商売でしたが、メーカーを掛け持ちはできないので、ある大手自動車屋系列の販売店しかできなかったので、その自動車屋の業績にかなり左右されることがネックでした。
当時、LEDが出始めたころで、このLEDを主力商材に無料診断をはじめました。
今では驚きはあまりなく、多くの企業がやっていますが、この会社は先駆けのようにやりましたので、差別化できました。
今の電球をLEDに変えることで初期コストがこのくらいかかるが、電気代がこのくらい減り、交換頻度もこのくらい減るので、◯年で初期コストが回収できますという売り方です。
この業者は先駆けでやりはじめたので、LEDに交換するメリットのないお客様には不要であることを伝えたり、中国で作られた格安LEDは壊れた時の保証がないから辞めたほうが良いなど、かなり親切に対応していました。
化粧品などでは肌診断などが一般的ですが、電気工事業界で先駆けてLED診断はなかったこともあり、差別化に成功した事例です。
牛丼屋にヒントを得て差別化した製造業
当時、円高が進んでいて、中国をはじめとする東南アジアに価格では製造業では勝てなくなっていました。
その製造業も価格が理由でどんどん仕事がなくなっていきました。
その時にヒントになったのが、牛丼屋の「早い、安い、うまい」でした。
正直、安いはどうにもなりませんでしたが、東南アジアとくらべて勝負できることと考えたときに
「短納期・小ロット」
に特化することだとヒントがありました。
中国を中心とした東南アジアは距離の関係もあり、納期は長くなりがち、また輸送コストなどの価格を安くするためにはロット数も多くしなければいけないという弱点を見事についた方法でした。
多少値段的には高くても、試作段階の製品、1つしか作らないモノ(型)などを中心に仕事は増加、その後量産体制に入った場合には、東南アジアに出す会社が多かったですが、トラブルがあったときに高単価で仕事をもらうこともでき、以前よりも収益はよくなりました。
これも、他業種にヒントを得て成功した事例の1つです。
編集後記
もう丸10年近く、中小企業の経営に携わっていますので、いろいろな業種を見ています。
その経験の中で、やはり一番成功しやすい方法の1つが、他業種では当たり前だけど、自分の業種では当たり前になっていないことを取り入れることだと思います。
しかも、自業種には難しいと思うことであればあるほど、他の人がマネしようとしたときに難しいので参入障壁となり、理想です。
簡単なところでいけば、飲食店では「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」「またのお越しを」などと大きな声で挨拶するのが当たり前です。
自分の業種に取り入れようとした時に、社員やスタッフが反発しそうだな・・・と思う業種であればあるほど、徹底できれば、それ自体が参入障壁になります。
これが、このくらいのことなら簡単にできそうと思うことであれば、すぐにマネされ差別化にはなりません。
もう1つ、ダメなケースを紹介すると…
良いところだけつまみ食いをしようとするケースです。
よくありがちですが、全部はうちに合わないと思うけど、良いところはマネしていこうと思う・・・みたいなことをいう人がいますが、それではほとんど意味がありません。全くマネしないよりは良いと思いますが、、、
そのすべてが一体となって意味をなしているケースがほとんどで、できそうなことだけやっても何の意味もないケースがほとんどです。
これは本を読んでいいとこ取りしようとする人も同様です。
もちろん、理由をつけて、何も行動しない人が一番最悪ですが、そんな経営者はいないと思います。
難しいなと思うことこそ、参入障壁になると思いますので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
自分でいろいろ悩んで考えて、考え尽くして思いついたことを実行するというのも大事なことです。
でも、どんなに考えても、思いついたことのほとんどが世の中にはもう既にあることであることのほうが多いのが現実です。
人のマネなんてできないと思わず、良いものをどんどんマネしていきましょう。
マネこそ、経営において成功の近道です。
学ぶの語源は真似るからきているともいうくらいですから。